社外の人とのやり取り、もうメールだけでは回らない時代です。
「いつもお世話になっております。株式会社〇〇の…」から始まる定型メールを1日に何通書いているでしょうか。
相手によっては、「株式会社〇〇の…」は省く人も多いかもしれませんが、「いつもお世話になっております。」は書いている人がまだまだ多いと思います。
一方で、ビジネスチャットなら「資料できました!」のひと言で済みます。
実際、弊社でもクライアントや社外パートナーとのやり取りは、気づけばチャットが中心になりました。
ただ、便利になった反面、こんな声も社内からちらほら聞こえてきます。
「あれ、これってChatWorkで送ったんでしたっけ?それともSlack…?」
そう、ツールが増えれば増えるほど、新しい悩みも生まれます。
今回は、社外とのビジネスチャットのメリットとデメリットを、弊社の実体験を交えて本音でお話しします。
そもそも、ビジネスチャットって何を使えばいいの?
代表的なツールを並べると、だいたいこのあたりです。
- ChatWork(チャットワーク)
国産で中小企業に広く普及。タスク管理機能があり、ITに強くない人でも使いやすいのが特徴。 - Slack(スラック)
IT系・スタートアップで定番。外部ツール連携やチャンネル管理に強い。 - Microsoft Teams(チームズ)
Microsoft 365を導入している企業ならこれ。会議もファイル共有もこれ一本で完結。 - LINE(ライン)
言わずと知れた国民的アプリ。プライベートで使い慣れているぶん、相手のハードルが圧倒的に低い。 - SMS(ショートメッセージ)
電話番号さえあれば届く、最も原始的(でも確実)な連絡手段。(チャットとは違いますが…)
ここで気づくと思います。「どれか1つに統一すればいいじゃん」と。
…ところが、社外とのやり取りでは、それができないのです。
弊社の使い分け:社内はChatWork、社外は「相手に合わせて全部」
弊社の場合、社内の連絡は基本ChatWorkで統一しています。これは社内ルールなので、迷うことはありません。
問題は社外です。
結論から言うと、社外はクライアントに合わせて全部使っています。
- ChatWork派のクライアントにはChatWorkで
- Slackを使っている会社とはSlackで
- Teamsの企業とはTeamsで
- 「LINEのほうが早いんで」と言われればLINEで
なぜこうなるかというと、主導権は相手にあるからです。
こちらが「うちはChatWorkなので合わせてください」とお願いするのは、お客様商売としてなかなか言いづらい。結果、相手の土俵に合わせて、こちらが複数のツールを使い分けることになります。
これはビジネスチャットの最大のメリットであり、最大のデメリットでもあります。順番に見ていきましょう。
メリット:とにかく速い、そして社外パートナーとのやり取りが快適すぎる
① メールより圧倒的に速い
「お世話になっております」の前置きも、署名も要りません。
「これOKです」「了解です!」で完結する。電話するほどでもない用件を、相手の時間を奪わずにサクッと片付けられます。
…と言いつつ、ここで一つあるあるを。
チャットなら前置きはいらないはずなのに、意外とみんな「お世話になっております」を使うんです。メール文化が染みついているのか、いきなり本題に入るのが申し訳ないのか。「了解です!」だけで返すのは少し失礼な気もして、つい打ってしまう。
本当はいらないと思いつつ、なんだかんだで残り続ける——この絶妙な距離感も、ビジネスチャットらしさかもしれません。
② 履歴が残って、検索できる
「あの件、いくらで合意したっけ?」が一瞬で遡れます。
口頭やメールで埋もれがちな決定事項も、チャットなら検索すればすぐ出てくる。言った言わないのトラブル防止にもなります。
③ 外注先とのやり取りが、とにかく便利
これは声を大にして言いたいのですが、外注先とのやり取りはチャットがすこぶる便利です。
特に ファイルのやり取り。
デザインデータ、画像、修正指示のスクリーンショット…。メールだと「容量が大きすぎて送れません」となるデータも、チャットならドラッグ&ドロップで一発。「ここ直してください」とスクショに丸をつけて送るだけで意図が伝わります。
修正のラリーが多い制作業務では、このスピード感が納期に直結します。
④ グループで関係者にまとめて共有できる
クライアント・自社・外注先を1つのグループに入れておけば、情報の伝達ロスが減ります。「あの人に共有し忘れてた」が起きにくくなるわけです。
デメリット:ツール乱立と「併用問題」という落とし穴
便利な反面、社外チャットには確実に「困りごと」もあります。
① ツールが乱立して、管理が大変
前述の通り、クライアントごとに使うツールが違うと、1日にChatWork・Slack・Teams・LINEを行ったり来たりすることになります。
通知も4倍。「どこに何が来たか」を把握するだけでひと苦労です。見落としのリスクも当然上がります。
② 「ChatWorkでも送ったんですけど」併用問題
弊社で地味に起きているのがこれです。
LINEで「資料送りました」と連絡しつつ、「あ、ChatWorkでも送ったんですけど〜」と二重で送るケース。
気を利かせての併用なのですが、これが続くと「正式な連絡はどっち?」「最新版はどのツールのどれ?」が分からなくなります。情報の所在が分散するのが、併用の怖いところです。
③ LINEは「公私の境界」が溶ける
LINEは相手のハードルが低い反面、プライベートと仕事が混ざりがちです。
休日の夜にお客様から通知が来て、ついつい返してしまう…なんてことも。また、個人アカウントでやり取りしていると、担当者が退職したときにやり取りの履歴ごと会社から消えるというリスクもあります。
④ 即レス文化のプレッシャー
「既読がついたのに返事がない」が可視化されるため、無言の催促のようになりがちです。チャットの速さは、そのまま「すぐ返さなきゃ」のプレッシャーにもなります。
SMSは便利なのか? → 「最後の砦」としては優秀
さて、ここまで触れてこなかった SMS(ショートメッセージ)。
弊社でも「使う人がちらほらいる」程度ですが、これが意外と侮れません。
SMSの最大の強みは、アプリのインストールもアカウント登録も不要で、電話番号さえ知っていれば必ず届くこと。
- 相手がChatWorkもSlackも使っていない
- メールを見てもらえているか不安
- 「さっきチャット送ったので見てください」とひと押ししたい
こういう場面で、SMSは確実な「最後の砦」になります。開封率が高いのも特徴です。
ただし、長文やファイルのやり取りには全く向きません。
なので使い方としては、「メインのチャットを補助する通知」が現実的。「資料送りました、ご確認ください」とSMSで一報入れて、本体はチャットで、という併用です。
…と、ここでもまた「併用」が出てきました。結局、社外とのやり取りは複数の手段の組み合わせになるのが実情なのです。
まとめ:ツールは「相手ファースト」、社内ルールは「自分ファースト」
社外とのビジネスチャットを、弊社の経験からまとめると、こうなります。
- 社外(クライアント):主導権は相手。相手に合わせるのが基本。無理に統一しようとしない。
- 外注先:チャットが圧倒的に快適。特にファイルのやり取りは積極的にチャット化すべき。
- 社内:ここは自社でルールを決めて統一する(弊社はChatWork)。社外で乱れるぶん、社内くらいは揃えておく。
- SMS:メインにはならないが、確実に届く補助手段として持っておくと安心。
大事なのは、「正式な連絡はどのツールか」を社内で決めておくことです。
併用すること自体は悪くありません。問題は、どこが本流か分からなくなること。「契約や見積もりの正式なやり取りはChatWorkに集約」など、軸を1つ決めておくだけで、「ChatWorkでも送ったんですけど」問題はぐっと減ります。
ツールに振り回されるのではなく、ツールを使い分ける。
便利な道具だからこそ、自社なりのルールづくりが、社外との気持ちいいやり取りへの近道です。
※社外とのやり取りに使うツールは、できるだけ個人アカウントではなく、会社として管理できる形で運用するのがおすすめです。担当者が変わってもやり取りが引き継げますし、情報管理の面でも安心です。