BtoBサイトにおけるフォントサイズについて/WordPressを使ったサイトの作り方 2025年版について考える-その3
以前は、本文サイズとして「16px」を標準としていました。しかし、弊社で製作することが多いBtoBの製造業という分野では、閲覧するユーザーの年齢層が高めであるケースが多々あります。そのため、最近までは一回り大きい「18px」を採用していました。
しかし、実際にクライアント企業様からお話を伺うと、少し違った実情が見えてきました。
「上司が若手に指示を出し、若手がWebで調査・選定を行い、上司に報告する」
BtoBの現場では、このようなフローが非常に多いのです。つまり、「実際に画面を一番長く見ているのは、実は若い世代ではないか?」という仮説が浮かび上がります。
そこで今回は、16pxと18pxの間を取った「17px」を採用しました。「たった1pxの違い」ですが、情報量と可読性のバランスにおいて、この17pxが今はちょうどいいのでは?と感じています。
フォントの設定も少し変更しました。フォントファミリーは定番の「Noto Sans JP」ですが、ウェイト(太さ)は「500(Medium)」を基準にしました。一般的には400(Regular)が使われがちですが、高解像度ディスプレイが増えた今、少し太めの500で視認性を高める組み合わせが、最近のトレンドとしても増えてきているように感じます。また、数字や約物(記号)には「Yakuhan」を組み合わせ、文章のリズムを整えています。
一方、スマートフォンの文字サイズは「15px」に設定しました。「スマホで15pxは少し小さいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、大手ニュースアプリや情報量の多いメディアを見てみると、意外とコンパクトなサイズ感が採用されています。限られた画面領域で効率よく情報を伝えるための選択です。
「文字が小さくて読めない」というユーザーに関しては、Webサイト側で制御するのではなく、端末の設定で文字サイズを大きくしていることがほとんどです。 以前は、自治体サイトなどでよく見かけた「文字サイズ変更ボタン(大・中・小)」も、最近は標準機能としては見かけなくなりました。これは、アクセシビリティの対応が「サイトごとの機能」から「ブラウザやOSの標準機能」へシフトした結果と言えます。
アクセシビリティとデザインは、時にトレードオフの関係になります。
「誰にとっても読みやすい」を追求しすぎるとデザインが崩れ、デザインを優先しすぎると誰かが置いてきぼりになる…。
だからこそ、固定観念にとらわれず、その時々のデバイス環境やユーザー行動に合わせて、常に「今の最適解」を見直し続けていきたいと思います。